* Sitar Detail *

この項ではシタールの事のみ詳しく考察してみました。

これからシタールを始めようかという人、シタールを買いたいと思ってる人、そして実際の演奏家の人にも納得して頂けるような情報を提示していると思いたいです。楽器について詳しくなろう!

Act 1 : sitarの流派

古典音楽の流派の基本は歌です。それについてはココで解説しております。そこでシタールにはどういう流派(ガラナ)があるのでしょう。私が知ってるものを紹介してみました。

Senia 管理人の流派です。創始者は「Maseet Sen」。その後「Mustaq Ali Khan」により幅広く知られるようになりました。Jaipurガラナとも言いますが、「Senia Binkar Masid Khan」の名からの影響で現状ではSeniaの名が一般的です。ベースはKhayalで、歌心のスタイルです。「Gayaki(Singing) Style」と言います。現在の代表的な演奏家は「Debu Chadhuri」「Debashish Sanyal」等。

Imdad khani

ベースはカヤールでImdad Khanによって世に知れ渡った様です。それからInayat Khan、そしてまたVilayat KhanImrat Khan兄弟へと続き発展しています。Khan家に伝わる代表的ガラナと言えるでしょう。シタールはKhayal Gayaki Styleで、スルバハールはDrupad Styleの様です。現在の代表的な演奏家は「Vilayat Khan(彼は2004年初春にお亡くなりになりました)」含め多数。あと物議はあれど「Budhaditiya Mukherjee」もこちらでしょうか。

Etawah

これも上記Imdad khan家系のガラナです。Etawahガラナの中で特にImdad Khanの演奏スタイルが画期的だったのでImdad Khani Gharanaという名称が出来ましたが、基本的には同じ流派だと捉えて問題無いと思います。現在の代表的演奏家は「Shahid Parvez」で良いでしょう。

Indore

カヤールにドゥルパドを融合させた形をベースにしており、現在の演奏家としてはAbdul Halim Jaffer Khanでしょう。特徴としてはターンがとにかくダイナミックである事。使える音階は上から下迄ダイナミックに使い切るという事、でしょうか。

Maihar

ベースはドゥルパドです。旋律の雄大さに重きを置いてる印象があります。いわゆるDrupad Styleです。代表的な演奏家は「Ravi Shankar」「Nikhil Banerjee(厳密に言うと彼はSeniaとのミックスでSenia Maiharとも言われますが)」等。Drupadは精神的な世界をより重要視するので、ヨガとも深く関わりがあります。ですので下記Vishnupur含め、このスタイルの演奏家はヨガを追及する方(ヨギ)も多いと聞きます。それとこのガラナは元々サロードから来てる様ですね。それは「Allaudin Khan」の事を指すのでしょうか。

Vishnupur

日本人の演奏家は上記Maiharとこのガラナが多い印象があります。ベースはやはりドゥルパド。こちらはMaiharよりも柔らかいタッチが特徴でしょうか。「Manilal Nag」等がこのガラナになります。弦のセッティングはMaiharと同じでしょう。こちらも基本的にはDrupad Styleです。私も古典で初めて聴いたのはこの流派のシタールでしたが、シタールの演奏を殆ど知らない日本人からすれば、一番イメージと直結する流派かも。ドゥルパドは日本人の心に強く響くのでしょうね。

どのガラナ、スタイルを良しと思うかは好みです。習得する難しさの違いは誰にも判断がつかないでしょう。それに同じガラナでも、演奏家によって当然個性がありそれぞれ違いますから、一概にこのガラナだとこう!と決め付けるのも考え物です。

実際管理人はガラナを訊かれればSeniaと言いますけど、Seniaガラナの本質は結構シンプルな演奏方法です。が、現在シタールの演奏はかなり発展していて、各演奏家は多種多様な技術、スタイルを吸収発展させています。私の師もSeniaをベースに色々なものを吸収発展させてますし、私もあまり拘らずに色々勉強しているつもりです。

一番大事な事はどのガラナか?ではなくどういったクオリティの演奏が出来るか?なので、ガラナの事は本当に知識的なものです。これから始める人は、外国人の特権というか、外国人だから出来る事なんですが、やはりどういった演奏が好みか?で師を選択すれば良いと思います。

いつかJapanガラナとか言ってインドで認められるようになれば面白いですけどね。

ガラナに関する情報もお待ちしております。私もそれほど詳しくないもので。それにまだガラナはあるかも知れません。わかり次第アップしたいと思います。

今回ガラナの情報については何人かの方に情報を頂きました。関係者の方には深くお礼申し上げます。今後も出来るだけ正確な情報が入ればアップしていきたいと思いますので、間違いや補足情報があればお知らせ下さい。

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Act 2 : sitarの種類

木は古い程楽器は鳴りますので、シタールを作成する前にはワインのように寝かせておく期間があります。ここで言う「鳴る」とは音量の事だと理解して下さっても結構です。+αの違いはもちろんありますけど、メーカーによっても音は変わりますし、同じ種類の木でもやはり違いはありますので、言い出すとキリがありません。
それに新品のシタールでも50年使用すれば、それは素晴らしい価値あるシタールとなるでしょう。シタールの原材料の木は2種類です。

Thun(Red wood) 見た目は濃い赤茶色。一般的な色です。

Sagwan(Teak wood)

見た目は純粋な木の色。つまり黄土色に近いです。木目がはっきり見えるので見た目は栄えますが、樹脂が多いのでThunより重いですし高価です。またこの木の出す音については賛否両論です。

Thun。一般的なカラーです。
Sagwan。自然の木の色に近いです。

シタール作成前に木を寝かせた期間をここでは便宜上「乾燥期間」と表現します。その乾燥期間により楽器の質が決まり、それは最終的に装飾、つまりデコレーションに現れ区別されます。

Khajur Patta (Date leaf) 一番安価なシタールです。初心者、学生向けです。シタールを初めて買う人にお勧めです。どうせ継続していくと、必ずと言っていい程シタールは最低でももう1本買う事になると思いますので、初めはこれで良いと思うのです。何故かは続ければわかります。乾燥期間は古くても5年ぐらい迄。見分け方は、後面部の南瓜上に施されている葉の装飾で、葉自体が細いという事。

Gulab Patta (Rose leaf)

ここからがプロの演奏家用レベルになります。乾燥期間5年〜15年程度(以降全てそう)。それ以上古いものは現在は入手が極めて困難でしょう。上記カジューパッターより装飾が綺麗、各パーツの素材もより良いです。見分け方は、葉の中にバラの花が施されています。

Angur Patta (Grape leaf)

基本はグラブパッターと同じですが、装飾が更に派手にされているので見栄えが良いです。見分け方は上記2つは南瓜の途中から葉があるのに対し、こちらは南瓜とネックの接続部分から葉の装飾が施されているという事。そうしてほしくはないのですが、飾りにするならこれが一番綺麗かも。装飾が凝ってる分だけグラブパッターより高価です。このシタールはRavishankar styleとも呼ばれます(上記ガラナの事とは違います)。

Munda (Plane)

デザインをしていないシタール、と言えば良いのでしょうか。見た目はシンプルですっきりとしています。ネック、ボディにはパールの装飾が施されており、南瓜に葉の装飾はありません。装飾がシンプルな分だけ上記2種類より安価です。このシタールはVilayat Khan Styleとも呼ばれます(やはり上記ガラナの事とは違います)。
Gulab Pattaの南瓜の部分。南瓜の途中から葉の装飾が施されています。Khajur Pattaもこのようになっています。 Gulab Pattaは葉の中に薔薇の花が装飾されています。これがKajur Pattaとの見分け方です。
Angur Pattaの南瓜の部分。このように全てが葉で覆われています。 Mundaは写真の通り非常にシンプルです。葉の装飾もありません。

大事な事ですが、シタールの材料は全て天然素材、しかも手作りです。つまり個体差が大きいのです。こればかりは本当に運です。運が良ければカジューパッターでも良い音、鳴りがするし、運が悪いとアングールパッターやムンダーでも納得いかないかもしれません(基本的にいい音がするので納得いかないという人はいないでしょうが・・・私はそんな人に会った事がありません^^)。
まあいわゆる「当たり」をゲットすればラッキーと言えます。

新しいシタールを購入した時に、鳴りがイマイチかなぁ?と感じたら、とにかく弾きこみましょう。シタールは弾きこむ事によって音は良い方向に変わっていきます。が、チューニングをきちんとする事、ジャワリのセッティングをきちんとする事、は特に必須です。それが出来ないなら、もしシタールを複数本持っていればですが、弦を張らずに2,3年放置してみましょう。良化する可能性があります。

シタールは弦を引っ張る事により(ミーンド又はミル)音階を変化させる事が出来る楽器なのですが、4全音上げれるシタールと5全音上げれるシタールと2種類あります。

4音シタールは主にカルカッタで売っています。Maihar、Vishnupurガラナ用と言えるでしょう。他のガラナではこのシタールは使えませんので購入時にはご注意を。このタイプのシタールには、低音をより豊かにするもうひとつの小さめの南瓜(トゥンバ)をヘッド側に装着するのが一般的です。トゥンバは南瓜の事を指しますので、本体の南瓜もトゥンバと言います。

5音シタールは主にデリーやヴァラナシ、ボンベイ等で売っています。ネックと南瓜の接続に対し、少しだけ角度を付けてやる事で5音表現が可能です。後はネックの長さを短くするとか幅を広げるとか方法はありますが、角度を付けた方法のものをお勧めします。4音シタールよりネックの厚みが薄く(4cm迄)、その面では個人的には弾き易いと思うのですが。

Munda5音シタールのネックとボディの接続部分。少し角度を付けて接続されています。

Act 3 : ジャワリについての考察

皆自分の持っているシタールは音が良いと思っている事でしょう。当然です。シタールは元々綺麗な音のする楽器ですから。ですので妥協せず、更に良い音を追及しましょう。

シタールの音を最も決定付けるのはジャワリ(本当はジャとジュの中間ぐらいの発音感覚ですが)の素材とセッティングです。ジャワリとはブリッジの事です。音を調整しても、一定期間演奏していると段々音質が変わってきてしまいます。徐々に変化しているので気付かない人も多いかもしれませんが、定期的にセッティングに出すのが一般的です。

まずは素材について。素材は4種類あります。以下の通りです。

Camer bone ラクダの骨です。一番安価で音質、バランス(各弦の音量バランスの事です)共最高レベルだと思います。が、セッティングしても寿命が短いので、インドに住んでない限りはやめた方が良いでしょう。インドの演奏家達はこれを使っている人が多いです。

Deer horn

鹿の角です。セッティング後の寿命が長いです。日本人はこれを利用している人が多いでしょう。音質は良好でよく鳴ります。管理人も好みの音ですが、バランスが個人的には好みでないので今は使っていません。ティカリンが鳴りすぎる気がするのですが、まあバランスに関しては賛否両論って事で。

Abonite wood

黒い木(黒炭)です。音質はクセがあり賛否両論(管理人は気に入った)もバランスは最高です。現在管理人はマイクを通して出すのに良いのでこれを使用しています。寿命は検証結果、短い方でしょう。Vilayat KhanShahid Parvezはこれです。ただこの素材は低音の響きが弱いです。

Synthetic Fiber

合成繊維です。最近のは改良されて、見た目がプラスティックみたいなので好みが分かれる所でしょう。音質バランス共に賛否両論も、寿命が一番長いと言われています。私は自分で検証していないので何とも言えませんが、興味のある方はお試し下さい。検証報告もお待ちしております。

Deer hornはこんな感じ。Camer boneも見た目は変わりません。
Abonite woodはこんな感じ。

ジャワリのセッティングはオープンクローズがあります。説明が難しいのですが、分からない人はクローズで良いかも。Ravi Shankarの音はオープン、Vilayat Khanの音はクローズなので参考に聞いてみて下さい。

open setting.mp3 (by Ravi Shankar)
close setting.mp3 (by Vilayat Khan) 音楽ファイルは後日アップしますm(_ _)m

管理人はクローズで、ティカリンをややオープンにセッティングしております。それとジャワリのセッティングは職人の腕に大きく依存しますので、腕の良い職人を探すのも大事な事です。ただ現在、腕の良い職人はあまり居ないのが残念です。
後は柔らかいピッキングをする人はオープンに、強いピックングをする人はクローズに、という考えで良いかも。良い職人は個人のピッキングの強さに合わせた設定をしてくれます。

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Act 4 : 弦についての考察

弦のセッティングはKhayal Gayaki StyleDrupad Styleとで違います。前者は計17〜19本、後者は計20本が基本です。

Khayal Gayaki Style ティカリンがルート、3度、5度で綺麗な和音を出します。

Drupad Style

ティカリンがルート、5度の和音ですが、低音弦が上記より2本多いです。つまりより低い音を演奏出来る訳ですね。

で、シタール演奏家の皆さんは、主旋律の弦に何を使っているのでしょう?私は0.28mmの弦を使ってます。4音シタールだと0.30mm、つまりNo.3の弦を使ってる人が殆どではないでしょうか?5音シタールはテンションの問題から0.28mmの弦を使う方が演奏は少し容易です。0.27mm以下の弦を使ってる人もいますが、あまり細くしすぎると柔らかい反面、音の芯が弱くなります。

Ravi Shankarは0.4mmの弦を使用していると聞きました。つまりそれだけ音が太いのでしょうね。4音シタールで演奏する方はこういう楽しみ方もあると思います。正直、0.30mm以上の弦で5音上げると、指への負担が大きすぎると思います。

ただこういった特殊な細めの弦は現在インドでの入手が非常に困難です。ですのでドイツのPyramid strings等から購入するのが良いと思います(他にもインド国外のメーカーはあるようですが、詳しくは知りません)。メール等しても返事は遅いですが。
デリーの有名ブランド楽器屋「Rikhi Ram's Music」は、Pyramid Stringsの正規代理店ですのでそちらでも購入出来ます。以前行った時は特殊な弦はありませんでしが、言っておきましたので仕入れてくれてる事を願ってます。
他の弦はインド製で十分でしょう。基本的に高いですからね。

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